イオン 岡山 周辺、危機的状況の兆候…赤字垂れ流しのスーパー、有利子負債2兆円で巨額利子支払い


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イオン 、危機的状況の兆候…赤字垂れ流しのスーパー、有利子負債2兆円で巨額利子支払い

イオンの2016年2月期第1四半期(3~5月)の決算は、売上高2兆461億円(前年同期比1.3%増)、営業利益は328億円(同5.8%減)、最終損益は62億円の赤字(前年同期は50億円の黒字)となりました。

 総合スーパー事業(GMS)の不振が大きく影響しています。イオンのGMSの赤字は、ダイエーの完全子会社化が大きく影響していると考えられます。イオンは15年1月1日にダイエーを完全子会社化しました。ダイエーの連結当期純損益(通期)は、09年2月期から14年まで6期連続で赤字でした。14年には243億円もの赤字となっています。

 イオンは、なぜ赤字を垂れ流していたダイエーを子会社化したのでしょうか。

 ひとつには、イオングループとのシナジー効果とテコ入れにより、長期的には黒字転換できるという計算があったと思われます。確かに、ダイエーの強みである「食品」に経営資源を集中させることで、黒字化の可能性もあります。

 ダイエーは15年6月20日に、食品分野に特化した新業態スーパー「フードスタイルストア」を東京・赤羽にオープンしました。ダイエー赤羽店を改装してのオープンです。今後はさらに、ダイエーのフードスタイルストアへの業態転換を進めていくものと思われます。

ダイエー子会社化のもうひとつの理由

 イオンがダイエーを子会社化した理由は、もうひとつ考えられます。実は、イオンの営業利益を一番稼ぎ出している事業は、GMSでもスーパーマーケット事業(SM)でも、ディスカウントストア事業(DS)でもありません。

 売上高は、GMS、SM、DSを合わせるとイオン全体の約7割に上ります。しかし、これらで営業利益はほとんど稼ぎ出すことができていません。GMSは16年3~5月期において93億円の営業赤字(前年同期は47億円の赤字)を計上しています。SM・DSは16年2月期において55億円の営業赤字を計上しています。イオンはGMS、SM、DSだけでは十分な営業利益を稼ぐことができないという実態があります。

 イオンにおける営業利益の稼ぎ頭は「総合金融事業」です。総合金融事業は、「イオンカード」によるクレジットカード事業、「イオン銀行」による銀行業、電子マネー「WAON」による電子マネー事業などで構成されています。総合金融事業の16年2月期における売上高の構成比は4%程度にすぎません。しかし、営業利益の構成比は31.1%(550億円)にもなります。

総合金融事業で収益を上げるには利用者の獲得が不可欠です。ダイエーを子会社化した理由はここにあります。ダイエーの利用客にイオンカードやイオン銀行、WAONを利用してもらうことで収益を上げることを狙っています。ダイエーを含めたGMSやSM、DSの規模拡大により、総合金融事業において利益を稼ぐ戦略です。

 とはいえ、総合金融事業で利益を稼ぐ戦略にしても、GMS、SM、DSで利益を稼がなくていいわけではありません。ほかの事業で穴埋めをするにも限界があります。

 さらに、GMS等の出店にかかる用地取得や施設・設備への投資には莫大な資金が必要になります。その原資となる資金を調達するために、銀行などから借り入れを行っています。イオンの16年2月期における有利子負債は2兆1708億円と莫大な額になっています。有利子負債は年々増加傾向にあります。そして、同期の支払利息は137億円にもなっています。

 16年3~5月期の最終損益は62億円の赤字となりました。熊本大地震による損失で19億円の特別損失を計上したという特殊要因もありますが、GMSで93億円の営業赤字を計上したことや支払利息で34億円の営業外費用を計上していることなどが大きく影響しています。

 このことからも、GMS、SM、DSの立て直しは必須といえるでしょう。特にGMSの立て直しは急務です。GMSはイオンに限らず苦境に立たされています。フードスタイルストアのような個性ある新業態の開発や業態転換を急ピッチに進める必要があります。イオンは正念場を迎えているといえそうです。

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2014年5月8日 
イオン、積極出店が呼ぶ地方商業圏の地殻変動と、グローカル経営で狙う地方との共存共栄


昨年末にオープンした「イオンモール幕張新都心」(千葉市)。イオンが本社近くに築いた城(旗艦店)として話題を呼んだのも束の間、3月16日、南海電鉄・和歌山大学前駅(ふじと台)にオープンした「イオンモール和歌山」(和歌山市中字楠谷)が日本一のクオリティーを実現したショッピングモールとして、流通業界で注目されている。

 しかし、この巨大モールの話題もすぐに霞んでしまうのではないかと思われるビッグプロジェクトが現在進行している。今秋11月にオープンを予定している「イオンモール岡山」である。竣工すれば、西日本最大のショッピングモールとなる。郊外を中心に展開してきたイオンモールにとっては、県庁所在地の中心駅前に位置する初の都市型店舗である。

 年間の来場者数は「イオンモール倉敷」を上回る2000万人以上を見込む。会社更生法手続き中のバイオ企業である林原から、岡山駅南側の土地を取得して現在建設している。直線距離15キロメートルほど西にある郊外型のイオンモール倉敷との立地的な競合を避ける狙い。地上8階、地下2階で、敷地面積4万6000平方メートル、延床面積25万平方メートル、営業面積は8万8000平方メートル。幕張新都心店と並ぶ旗艦店舗に位置づけられている。専門店350店舗をはじめ、シネマコンプレックス、岡山放送のスタジオ、約600席のホールも入居する予定。

 筆者は、神戸の国立と私立大学の研究所に所属する一方、岡山の私立大学でも教授を務めているため、東京駅から岡山駅まで毎週、新幹線で通勤している。そのため、首都圏と地方都市の両視点から、最新の経済・社会現象を比較的見地から把握できる。グローバル化が叫ばれ高度情報化時代に入った今、どこにいても情報を得ることができそうなものだが、今も主要マスコミのほとんどが東京に集中しているため、ウクライナの政情を知っていても、国内の県庁所在地で何が起こっているかについて東京のビジネスパーソンはほとんど知らない。インターネットを検索すればなんでもわかると思いがちなのも、ビッグデータ時代の死角といえよう。
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 中でも首都圏の人々がほとんど目にすることがない情報として貴重なのが、ローカルテレビ局の番組だろう。YouTubeをはじめとする動画検索サイトでさまざまな映像が見られるとはいえ、地方に住むか、活動拠点を持っていないと、意外と重要な情報を見落としがちである。また、番組を見た直後にその内容について地元の人びとと語り合うことはおろか、現地にすぐ足を運び、自分の目で確認することは難しい。

●イオンモール出店を経済活性化につなげる
 4月2日の午後7時から、岡山ローカルのRSK(山陽放送)テレビが2時間特別番組『政令市5年の岡山・生かせるか! ビッグチャンス』を生放送した。イオンモール岡山開店による経済効果と地元老舗百貨店・天満屋を中心に拡がる岡山市街の商店街・表町(おもてちょう)の活性化について議論していた。ちなみに、伊原木隆太・現岡山県知事は天満屋・前社長で、現在は父・一衛氏が会長、その実弟である省五氏が社長を務めている。

 イオンモールができた各地では、商業地の地殻変動が起こっている。岡山でも周囲の商店街だけでなく、天満屋や駅前の高島屋、イトーヨーカドーも安穏としていられない状況だ。その危機感が同番組のテーマでもあった。表町商店街はイオンモールとの共存共栄を図り、買い物客の回遊性を促進し、これを機会に活性化できないかと前向きの姿勢を見せている。400年の歴史を誇る同商店街は、ブランド力を向上し「岡山の銀座」を目指すという。

 岡山はイオンモールの4番バッターとして登場してくるのだが、その前にリーディングヒッターが打点を稼ぐかのように、昨年以降、イオンは怒涛のごとくモールを新規出店している。前述の幕張新都心、和歌山に加えて、東員(三重県)、天童(山形県)、名古屋茶屋(愛知県/6月オープン予定)を、今秋には岡山だけでなく多摩平の森(東京都)、京都桂川(京都府)、木更津(千葉県)の開店を予定している。さらに、15年春にJR旭川(北海道)と北中城(沖縄県)、16年秋には東松本(長野県)を開く計画だ。田中角栄・元首相がぶち上げた「日本列島改造論」ならぬ、「日本流通改造論」を展開しているようにも見える。

●海外展開、新規分野参入も加速
 さらにイオンは日本にとどまらず、アジアを中心にグローバル化を加速している。中国、アセアン諸国等合計14カ国で小売事業や金融事業、サービス事業などを展開。さらに、日本、中国、アセアンにそれぞれ本社機能を設置し、新たな国・エリアへグループ一体となりビジネスを拡大している。まさに「グローバル流通改造論」を実践しているといっても過言ではない。

 また、イオンは4月1日から、通信サービスをセットにした低価格スマートフォン(高機能携帯電話)を総合スーパー「イオン」の携帯電話売り場で発売し、同社の多角化戦略があらためて注目されている。端末は米グーグルと韓国LG電子が開発した「Nexus 4」で本体価格は3万4080円(税抜、以下同)。これに基本料とネット定額を1560円にした携帯電話用ICカード「SIMカード」を組み合わせる。端末代金と基本料、定額のネット接続料を含め、携帯電話大手の半額以下の月額2980円で予約を開始した。

 イオンは、小売、ディベロッパー、金融、サービスをはじめとする事業群と、これを支えるITや商品、物流など、グループ横断的な共通機能会社から成る日本一の「総合流通グループ」(14年2月期連結営業収益は6兆3951 億円、前期比112.5%)になった。これらが有機的に結集することによって生まれるシナジーにより、さらなる成長を加速しようとしている。

●地域密着経営の推進
 最近、地域を重視しながらもグローバルな活動を展開することを表す造語として「グローカル」がよく使われるようになった。まさに、イオンはグローカル企業を目指している。地域の顧客とともに、環境保全や地域の食文化継承、ならびに地域行事にも参加し、施設を提供することで、地域文化の継承に取り組む。また、雇用創出や自治体との包括協力協定の締結など、地域経済の活性化に寄与するため地域密着経営を推進。そして、地域の優れた産品を国内外に広がる店舗網を活用して積極的に販売し、地域経済の振興に努めている。近年では日本の優れた食材を海外の店舗でも販売し、そのすばらしさをアピールしていることも注目に値する。

 イオンモール株式会社の経営理念には、次のように書かれている。

「イオンモールは、『輝きのあるまちづくり』を目指します。
 私たちは、パートナーとともに、輝きのあるまちを創造し、地域で生活する人々の、より彩りあるくらしの実現に貢献し続けます。
 ※輝きのあるまちとは、私たちが創る『驚き、感動、喜び』のある生活拠点によって魅力あふれる新しい生活があるまちのことを指します。
 ※パートナーとは地域社会、行政、NPO、テナント企業、協力企業、地権者、投資家など、街づくりにかかわるすべての人を指します」

 イオンの創業家・岡田屋には「大黒柱に車をつけよ」という有名な家訓がある。「家を支えている大黒柱は、本来動かしてはならないものだが、いつでも車をつけて家を動かせるようにしておけ」という意味である。時代、顧客ニーズの変化、人の流れに柔軟に対応し、店を移動せよ、過去の成功体験にこだわるな、と教えている。

 一部メディアは、この家訓を揶揄して、巨大なショッピングモールをつくっても、儲からなくなればすぐに撤退するのか、それでは企業としての社会的責任を果たしていないではないか、と指摘する。

 イオンモールが進出した地方都市では、完全にインフラとして定着している。ショッピングだけでなく、生活のさまざまな面でイオングループの便益を受ける「イオニスト」が増殖中。これほどまで地域に定着してしまえば、たしかに撤退されると地域住民は困る。だからこそ、イオンモールには持続的成長が求められる。イオンもそうありたいと考えている。

 しかし、イオンも盤石ではない。イオンモールの約70%は、25年までに人口が5%以上減る地域に立地しており、そうした地域は高齢化も著しい。

 いつの世でも、永遠に同じ形の商売が続くわけがない。長くても20~30年といわれる商業施設のライフサイクルを考えれば、いずれ、このインフラの大黒柱を動かさざるを得ないだろう。だが、その大黒柱をどう動かすかが肝心である。それは、撤退という形でなくなっているかもしれない。例えば、今、ファミリー主体のニュータウンでさえ、20~30年後には、高齢者中心のオールドタウンと化す。しかし、その頃には自動車の自動運転が普及していることだろうし、それを利用して、むしろ、歳をとると刺激を求めて、ショッピングモールへ出かけるようになると予測される。イオンモールは広すぎて歩くのに疲れるという高齢者に対しては、売り場と自宅、もしくは休憩スペースをネットで結び、ショッピングを中継するようなサービスも考えられる。

 技術にせよ、サービスにせよ、新しいものが出現すると、とかく負の局面に目が行きがちである。「イオン栄えて、街滅びる」という見方もその一つだろう。そうではなく、正の局面に注目し、「イオン栄えて、街も栄える」という構図を前提に、すべての関係者が「共創」することにより、日本の流通、そして社会が生まれ変わるのではないだろうか。