イオン 岡山周辺 岡山県内 映画館、特色づくり進む

岡山県内3館目のシネマコンプレックス(シネコン、複合型映画館)のイオンシネマ岡山(岡山市北区下石井)が、JR岡山駅前に開業して1年が過ぎた。競争激化を受けて、シネコンが最新の上映システムを導入すれば、小規模館は独自イベントで勝負と、県内の各館で特色づくりが進む。映画館の楽しみ方が増え、利用者のメリットにつながっている。
 TOHOシネマズ岡南(同市南区築港新町)は2015年11月、人気映画「スター・ウォーズ」の新作「フォースの覚醒」公開を前に、米国企業が開発した体感型上映システム「MX4D」を1スクリーンに導入した。
 全92席のシートが、シーンに連動して上下、前後、左右と動き、水しぶき、霧、匂いなど11種の特殊効果が臨場感を高める。観賞料は千円高くなるが、香川県直島町、会社員男性(52)は「まるで映画の中に居るよう。次はアクション作品を見てみたい」と満足そう。
 10リットルサイズの「MEGAポップコーン」(1400円)を売り出し、食も充実。青島圭太支配人は「良い商品なら高価格でも売れる時代。ここでしか体験できない楽しみを提供したい」と意気込む。製作側の声
 地元資本の2館はイベントや作品選択で差別化を図る。
 大手配給にない作品を上映するシネマ・クレール丸の内(岡山市北区丸の内)は、監督や俳優のトークショーや舞台あいさつに力を入れる。犬猫の殺処分をテーマにした映画「犬に名前をつける日」では公開初日の1月23日に山田あかね監督が訪れ、作品の背景や現場で感じた課題を語った。
 「製作側の声を聞くことで、作品の理解が深まるはず。映画をきっかけに、いろんな社会テーマに関心を持ってもらえたらうれしい」と浜田高夫支配人。例年は3、4回だが、15年は7回開催。今年は1月だけで3回行った。「犬」や「認知症」など、興味を引くテーマを意識したラインアップを心掛ける。
 アニメファンに狙いを絞り、試行錯誤するのは老舗の岡山メルパ(同駅前町)。15年は、倉敷市出身の声優金元寿子さんのトークショーと、アニメアイドルの映画をライブのように声援を送りながら楽しめるイベントを初めて開いた。反応は上々で、両方とも150席が満席になった。非日常空間
 既存各館の15年は、程度の差はあるが、どこも前年に比べて客が減った。特に大手配給の作品を上映する岡山メルパ、ジョリー東宝(同中山下)、TOHOシネマズ岡南、MOVIX倉敷(倉敷市水江)は、10?20代前半の若者の減少が目立つという。
 一方、イオンシネマ岡山ではファミリーや年配層は伸び悩んだが、他館が苦戦した若者向け作品で満席を記録するなど大勢の中高生が来館。青井健彦総支配人は「映画を見ないと言われる世代が多かったのはうれしい誤算」と話す。その上で高級感のある電動リクライニングシートを備えた「グランシアター」(46席)などの最新設備で「ゆっくり過ごせる非日常空間」のイメージ定着を狙う。
 シネコンを中心に、映画以外の利用も広がる。14年にスクリーンと座席をリニューアルしたMOVIX倉敷は、人気アーティストのライブ生中継をはじめ、オペラや歌舞伎の作品上映に力を入れる。岡山メルパやイオンシネマ岡山などでは、コンサートや企業向けの貸し切り上映を実施、結婚式に貸し出す企画もある。
 映画史研究家の世良利和さん=岡山市北区=は「いろいろなスタイルで映画館を楽しめる環境がそろい、新たなファンを取り込めそう」と分析。「映画館で映画を見る楽しさを広める好機として、各館が連携する試みがあっても良いのでは」と期待する。